相続時精算課税が変わります!

【相続時精算課税が変わります!】

FLOW行政書士事務所です。

今回は、先日お伝えした令和5年度の贈与税の改正論点のうち、相続時精算課税制度の改正についてシンプルにお伝えいたします!

相違点をお伝えするので、相続時精算課税制度についてあらかじめご存知でないとご理解いただくのが難しいかもしれません。

ご了承ください。

【相続時精算課税制度のこれまで】

①非課税の限度額

相続時精算課税制度を利用した場合、総額累計で2500万円まで非課税で贈与することができます。

②相続時の持ち戻し

贈与をした人が亡くなり相続税申告が必要であった場合、相続時精算課税で贈与した金額を含めて相続税を計算することになります。

仮に相続時精算課税で2500万円の贈与をしていた場合に、この2500万円を相続税の計算の際の遺産総額に含める必要があります。

【令和5年度改正案】

①非課税の限度額

2500万円の非課税枠のほか、各年において110万円の基礎控除も適用されることになりました。

②相続時の持ち戻し

贈与した金額から基礎控除110万円の合計額を控除した残額を相続財産に含めて相続税を計算することになります。

-毎年400万円を贈与した場合で8年目に亡くなった場合-

【これまで】

①非課税の限度額

1年目:累積贈与400万円≦2500万円  ∴非課税

2年目:累積贈与800万円≦2500万円  ∴非課税

3年目:累積贈与1200万円≦2500万円 ∴非課税

4年目:累積贈与1600万円≦2500万円 ∴非課税

5年目:累積贈与2000万円≦2500万円 ∴非課税

6年目:累積贈与2400万円≦2500万円 ∴非課税

7年目:累積贈与2800万円>2500万円 ∴2500万円超えた部分から課税

②相続時の持ち戻し

2800万円を相続財産に含めて、相続税を計算します。

-毎年400万円の贈与を受けて10年目に亡くなった場合-

【令和5年度改正案】

①非課税の限度額

1年目:累積贈与400万円△110万円=290万円≦2500万円 ∴非課税

残非課税枠2500万円△290万円=2210万円

2年目:累積贈与800万円△220万円=580万円≦2500万円  ∴非課税

残非課税枠2500万円△580万円=1920万円

3年目:累積贈与1200万円△330万円=870万円≦2500万円 ∴非課税

残非課税枠2500万円△870万円=1630万円

4年目:累積贈与1600万円△440万円=1160万円≦2500万円 ∴非課税

残非課税枠2500万円△1160万円=1340万円

5年目:累積贈与2000万円△550万円=1450万円≦2500万円 ∴非課税

残非課税枠2500万円△1450万円=1050万円

6年目:累積贈与2400万円△660万円=1740万円≦2500万円 ∴非課税

残非課税枠2500万円△1740万円=760万円

7年目:累積贈与2800万円△770万円=2030万円≦2500万円 ∴非課税

残非課税枠2500万円△2030万円=470万円

8年目:累積贈与3200万円△880万円=2320万円≦2500万円 ∴非課税

残非課税枠2500万円△2320万円=180万円

9年目:累積贈与3600万円△990万円=2610>2500万円 ∴2500万円超えた110万円部分に課税

残非課税枠はゼロ

②相続時の持ち戻し

2610万円を相続財産に含めて、相続税を計算します。

数字の羅列となるので見にくくて申し訳ございません笑

以上、簡単な例となりますが、一番の変更点は相続時精算課税制度にも「110万円」の基礎控除が設けられたという点をまずは知っていただければと思います。

暦年贈与と併せて改正案によって、制度が難化傾向にありますので、実際にご検討される際にはお近くの税理士にご相談いただくことをお勧めします!

暦年贈与が変わります!

【暦年贈与が変わります!】

FLOW行政書士事務所です!

令和5年度の税制改正によって、贈与税について2つの大きなトピックがありました!

◇暦年課税制度の見直し

◇相続時精算課税の見直し

今回は暦年課税制度の改正案についてご案内させていただきます。

結果としては、とてもややこしくなってしまいました…

まずは、これまでの暦年課税制度について確認してみましょう!

【これまで】

①非課税の限度額

年110万円までの贈与なら贈与税がかかりませんでした。

②相続時の持ち戻し

贈与をした人が亡くなった場合、亡くなる前3年以内の贈与については金額問わず相続財産に加算が必要でした。

【令和5年改正案】

①非課税の限度額

「これまで」と変わらず、年110万円までの贈与であれば贈与税はかかりません。

②相続時の持ち戻し

「これまで」の亡くなる前3年以内の贈与の持ち戻しに加えて、さらにその4年前までの贈与についても相続財産に加算しなければならなくなりました。ただし、この4年間については贈与した財産額がまるっと相続財産に加算されるわけでなく、100万円を控除した残額が加算されることになります。

*持ち戻しとは

持ち戻し対象の金額については、相続が発生した際の相続財産に含めて相続税を計算することとなります。仮に持ち戻しが必要な財産が100万円あった場合には、100万円を相続財産に加算して相続税を計算する必要があるので、贈与した時の贈与税はかかっていなくても、後々、相続税がかかってしまう場合があります。

②相続時の持ち戻しについて理解いただくのはけっこう難しいと思います。

例で考えてみましょう。

例えば、亡くなる前の7年間で毎年100万円ずつ贈与していたとします。

【これまで】

相続財産に加算されるのは3年以内の贈与に限るので、相続財産に加算しなければならないのは300万円(=100万円×3年分)になります。それより前の400万円(=100万円×7年分)については持ち戻しは必要ありません。

300万円部分は相続財産に加算して相続税を計算する必要があり、相続税が発生する可能性がありますが、400万円部分は持ち戻しが不要だったので、相続財産に加算する必要もありませんし、この400万円部分について相続税が発生する心配もありませんでした。

【令和5年改正案】

これまで同様、3年内に贈与した300万円については相続財産に加算します。

そして、それより前の4年間の贈与400万円部分についても300万円(400万円△100万円)をさらに相続財産に加算する必要があります。

結果として600万円を相続財産に加算する必要があります。

これまではそれより前の400万円部分については相続税はスルーされていましたが、ココの部分についても贈与時に贈与税がかからなくても、あとあと相続税が発生する可能性が出てきたわけです…

以上が暦年贈与の改正案なのですが、おそらくなかなかご理解いただくのは難しいかもしれません。

ただ、計画的に生前対策を考えられている方にとっては、影響が大きくなるものとなりますので、もし、ご不安やご質問がございましたら、ご遠慮なくご相談いただければと思います。

以上、簡単ではございますが、暦年課税の令和5年度改正案についてご案内させていただきました。

最後まで読んでいただきありがとうございました! 

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